2005〜2009年、日本市場でバーバリーは、商業的にも文化的にも最も安定して成立していた。
世界基準クリエイティブ資産化計画を考えるうえで、私が必ずこの時期に立ち返るのは、それが「成功の只中にありながら、終わりに向けた判断が静かに準備されていた局面」だったからである。
安室奈美恵の社会現象はすでに一巡し、CanCam を中心とした女性誌文化の中でブランドは定番として定着していた。売上も現場運用も揺らぎはなく、外から見れば、成功が持続しているブランドにしか映らない。
それでも数年後、本国はライセンス契約を終了する。
本稿で扱うのは、結果の成否ではなく、判断が成立し続ける構造そのものである。
日本側が積み上げた編集の資産と、本国が守ろうとした統治の資産。そのズレはどの瞬間に不可逆となったのか。現場の内側から、その判断構造を解き明かす。
(連載マガジン:世界基準クリエイティブ資産化計画/note)